大城元県農水部長が新分野進出で講演   平成16年09月08日

沖縄の資源を活かした産業振興を


 沖建協は9月8日(木)午後2時から建労センターで沖縄における建設業の新分野進出講習会を開いた。講師に元県農林水産部長の大城喜信氏(沖縄発明振興会サンニン会 会長)を迎え、「地域資源を活用した産業振興」をテーマに講演を行った。
 講習会は、沖建協の新分野進出支援事業の一環で約130人の企業トップが参加。大城氏は、建設業が進出しやすい新分野として、サンニンや薬草、建設廃材のリサイクル、リゾートと連携したインフラ整備などを挙げ、沖縄に豊富にある資源や地域特性を活かした新たな産業興しをすべきだと、自らの経験や成功事例を示しながら、わかりやすく説明した。
 大城氏はまず、年々削減される公共事業予算と建設業者数の多さを指摘し、「国庫からの財政移転が確実に減少する中では、新しい視点に基づいた新しいビジネス分野への進出を考えなければならない」と新分野進出の重要性を強調し、その上で、約40年に及ぶ氏の農業一筋から得た体験談等を話した。
 南風原町の農家の長男として生まれた大城氏は、小さい頃から農業の手伝いをさせられ、南部特有のジャーガル質の固い土には大変苦労したそうである。その苦い経験から、当時盛んだった農業の生産を高めるために、大学は農業を専攻し、ハワイ大学大学院では土壌学を修めた。1964年に琉球政府入りし、復帰後に国庫補助事業で、念願の土壌改良事業を実施し、12年かけて完成した。
 「非常に難しいいといわれたが、可能性をまず確認し、成功させた。これまで不可能と言われていた北部地区に花やスイカが土壌改良によってできるようになり、今では特産品にまで成長した」と当時を振り返った。
 また大城氏は、県の産業構造の特徴や県外収支についても説明。この中で建設業の事業所数や名目総生産などをデータで示した。平成13年度の建設業者数は5,366社で、全産業の7・6%を占め、従業者数は51,008人(同11・1%)、建設業の県内総生産(名目)は、3,469億8,600万円で、事業者1社当り6,470万円、一人当たりは680万円と全産業の中核を占める。
 しかし、国庫からの財政移転が確実に減少する中で、公共事業に大きく依存している沖縄の建設業にとって、国の三位一体改革の影響は極めて深刻。「事業の転換や新規事業への参入など新たな取り組みが求めれている」と厳しい現状を指摘。
 その上で「観光地としての優位性を活かした観光産業の振興」や地域資源を活用した「月桃」、「海水」、「クチャ」、「有機系廃棄物」、「特許」など循環型産業の構築による新しい分野への進出を促すともに、建設業の参入しやすい業者として@農業A環境B建設廃材Cリゾートと連携したインフラ整備などを挙げた。
 



  このページの先頭にもどる