年頭のごあいさつ  


社団法人全国建設業協会
会長 前田靖治


謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 2004年の幕開けを心安らかにお迎えになられたことと存じます。
 国の内外においては、イラク復興支援問題が大きな政治課題となっており、国民も我が国の安全と人道支援の狭間で、不安と苦渋に苛まれております。世界の人々が、命の尊さを理解し、博愛と互譲の精神をもって、健やかに安心して生活できる国家社会の構築を希うものであります。
 昨年後半から、我が国の経済は、世界の景気回復の基調を背景に、企業収益の改善等の動きが見られ、民需中心に緩やかに回復していくとのことであります。
 然し、雇用情勢は依然として厳しく、景気回復状況には地域差が顕著であり、また金融機関の経営不安等の要因により街角景況感は悪化しております。
 現下の建設産業界は、国の財政構造改革のため、公共投資の度重なる大幅な縮減によっで、極めて厳しい経営環境にあり、特に、公共事業依存度の高い地方中小・中堅企業は未曾有の危機的状況にあります。
 国は、平成16年度予算編成において、これまでの「改革断行予算」の基本格線を継続し、特に、社会資本整備の公共投資関係費の水準については、前年度予算から3%以上削減し、「個性と工夫に満ちた魅力ある都市と地方」等の4分野を中心に、雇用・民間需要の拡大に資する分野への重点配分がなされることになっております。
 今や、公共事業は従来型の量的なものから、効率的かつ国民の要請に応えられる質の高い社会資本整備へと転換する重要な岐路に立っております。社会資本整備の一翼を担う建設業界もこの方針に沿って、企業経営を再構築し、企業戦略等を見直し、柔軟な発想の下に企業経営を行うことが緊要であります。
 このためには、建設技術の向上や経営の安定に弛まざる努力を行う企業が、建設市場において適正な競争を行い、伸びていくことのできる環境を整備することが重要であります。今後、本会の取り組むべき重要課題は、建設企業の新たな成長分野への進出や経営基盤強化を推進すること、特異な入札制度を排除し適正な入札契約制度の採用を促進すること、第三者機関による企業評価を通じて不良不適格業者を排除するための入札ボンド制度や公共事業の品質と安全を確保するための瑕疵担保保証制度を創設すること等があり、積極的な政策提言・要望をして参る所存であります。また、悪化する雇用の相談業務にも力を注いで参ります。
 全建は、経済団体としての伝統と誇りを持ち、国民の視点に立って、国際化、少子高齢化、情報化等が進む新しい時代に対応した活力ある未来社会を構築するために、今後とも、各都道府県建設業協会をはじめ関係諸団体と一体となつて、先進諸国に立ち遅れている社会資本整備の重要性・必要性を訴え、その基盤整備に貢献して参りたいと存じます。皆様の一層のご指導・ご協力をお願い申し上げます。
 本年が、皆様にとってより良い年となりますようご多幸とご健勝を祈念いたしまして、年頭の挨拶といたします。



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