法的責任や施工上のトラブル対策など解説
 タイル剥離に関するセミナー開催
平成30年1月22日



 多くの会員が参加した



 古賀教授


 
秋野弁護士

 タイル剥離に関するセミナーを1月22日、建労センターで開催、会員企業の担当者ら約60人が参加した。

 セミナーでは、タイル剥離に関する施工上の問題点と法的観点から見る問題点をテーマに、福岡大学工学部建築学科の古賀一八教授と匠総合法律事務所代表の秋野卓生弁護士が講師を務め、タイル剥離・剥落に関する施工上の問題点やトラブル防止策など、施工者が注意すべき対策について学んだ。

 セミナーでは「どうしてタイルは落ちるのか」と題して講演した古賀教授は、タイルの浮きや剥離の要因として、下地とタイルの伸縮量の違いによる接着強度の劣化などにあると指摘。対策として@タイル仕上げでは、ムーブメントの大きいところ(アール部分、パレペットなど)に使用しないA金物の使用も含めた剥離しても落下しないような対策・工法B剥落が人命に影響を与える場所では打ち込み工法を採用するC庇や植え込みを設置することで剥落しても人命に対する安全策を講じるなど、設計上の対策をとるようアドバイス。設計監理に当たっては、タイルの取付強度確認、下地処理の確認、指定張付モルタルの確認、オープンタイムの徹底、タイル裏足の充填性の確認、全面打音確認、接着強度の確認をポイントとして挙げた。このほか、タイル張り仕上では、剛性の小さい材料で張付けることが応力緩和につながるとして、弾性接着剤や弾性モルタル塗り下地の使用を推奨した。

 また、「タイル剥離・剥落に関する法的責任」と題して講演した秋野弁護士は、築後10年以上を経過した物件でタイルの剥離・剥落等トラブル案件が多く、法律相談が増加傾向にあると現状を説明。このようなトラブルは、瑕疵期間が民法上、最長20年まで不法行為責任が問われるなるケースもあるとして、実際の裁判事例などを紹介。トラブルに適切に対応するため、施工要領書や設計図書を保管しておくことを呼びかけた。




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