平成28年度地域別産学懇談会を開く
業界への若年者入職で議論
平成28年8月18日
〜8月30日

若年者の入職促進を図るため意見交換した

 沖建協本部・支部、ハローワーク、工業高校などの教諭らが新規学卒者の雇用に関する課題などについて協議する「平成28年度地域別産学懇談会」が8月18〜30日の期間に、県内各地で開かれた。同懇談会は、沖建協が若年者の建設業への入職促進を図るため、本島北部、中部、南部、宮古、八重山の5カ所で行っているもので、沖建協本部の常務理事・担当者、沖建協各支部の支部長・事務局長、(一社)沖縄県電気管工事業協会など関係団体の会長や理事らが出席した。
 8月26日に浦添市の建設会館で開かれた懇談会では、沖建協の呉屋明労務対策委員長が「県内産業で人材及び人手不足が問題とされ、建設業でも同様の状況となっている。協会として、これまで以上に若年者雇用に重点を置いて取り組みたいが、会員企業の採用計画と実際に採用した数について充足していない状況がある」と現状を説明。その上で「何が課題なのか、そしてミスマッチが起こらないような取り組みが重要で、皆さんの忌憚のない意見を聞かせてもらいたい」と呼び掛けた。
 その後、ハローワーク那覇の阿部誠所長が管内の労働市場動向や平成28年3月新規学卒者の就職対策などを紹介。阿部所長は管内の現状として、県外と比較して内定率が低く、定着率も低いと説明。課題としては企業の求人票提出や選考時期・選考結果が遅いなどと指摘した。また県内の有効求人倍率が1倍台となり、求職者数と求人数は、ほぼ同じだが、ニーズの違いでミスマッチが顕在化しているとし、特に専門的・技術的職業で有効求人倍率が高くなっていると分析。ハローワーク那覇管内では、建設土木測量技術者の有効求人倍率が2・60であるなどと例示した。
 学校側からは、「現時点で学校に届いている求人票は、県外500社超、県内100社超。就職希望者は早くから就職活動するので、求人票の提出が遅いと選択肢に入らない。こういった状況があるため、求人票は早めに提出してほしい」、「就職に関心の低い生徒が県内企業に就職する傾向にある」、「県外企業と県内企業で待遇に差があり、県外に就職する傾向がある」、「土木専門が建築に配置されたり、建築専門が機械に配置されるなど教員の専門外配置があり、教科指導に影響が出る」など様々な課題が紹介された。一方で、学校によっては目的意識を持って入学する生徒が多いので、小中学生、中学校の先生らに対して、建設業への関心・理解を深めてもらえるような取り組みが必要との提言があった。
 沖建協は建設雇用改善推進事業の取り組みとして、高校生現場見学会や現場実習の充実、資格取得等のサポートによる入職支援などを行っていると説明。また今年度から高校生の車両系建設機械の資格取得支援を拡充したほか、新規に高校生・専門学校生・大学生を対象とした建設産業合同企業説明会の実施、県立美里工業高校で加工技術等の体験会などを行ったと紹介した。
意見交換では、沖建協南部支部の上原進支部長が「建設業への理解を深めるには、インターンシップが有効と考えている。学校で学んだことを具体的に使われていることを実感させた方がいい。学校側が生徒らの要望にマッチしたインターンシップを提案してもいい」と話した。また「過去に内定を出したにも関わらず、親の反対があり辞退するケースがあったが、現状はどうか」と質問。これに対し学校側は「まず県内か県外で親の関与が出てくる。保護者の影響は大きいが、高校の先輩が辞めていない会社は生徒が親を説得することもある。定着率も良い」と答えた。
 このほか、学校側から「敷地や学校内の機材などを提供するので、中学生らに体験イベントのようなことができないのか」との提案があった。 



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