若年労働者確保へ議論交わす
 〜 建設雇用改善推進会議を開催
平成27年11月30日

若年労働者の確保などで意見交換した

議事に先立ち挨拶する仲本副会長
 建設業の若年労働者の雇用問題について、沖建協など建設関係団体と行政機関、教育関係者らが意見交換する平成27年度第1回建設雇用改善推進会議が11月30日、建労センターで開かれた。会議には、沖建協から仲本豊副会長、呉屋明労務対策委員長、源河忠雄常務理事ら本部役員と各支部長が出席。沖建協以外の建設関係団体からは(一社)沖縄県電気管工事業協会の中村達会長、(一社)沖縄県造園建設業協会の大屋安軌事務局長らが出席した。行政や教育機関からは、沖縄労働局職業安定部職業安定課の喜久川智英地方職業指導官、同部職業対策課の安田重光課長補佐、県教育庁県立学校教育課の山城篤指導主事、沖縄県高等学校長協会農業部会の知名幸一部会長らが出席した。
 議事に先立ち、沖建協の仲本豊副会長は「建設業界を取り巻く状況は、数年前と一変しており、需要は好調に推移している。一方、過去の政権の政策で建設業に対して悪いイメージが持たれて従事者が減り、現在は、その補充が埋まっておらず、人手不足の状況が続いている」と現状を指摘。その上で「沖縄では今後も一定量の公共工事が見込めると考えているので、安定的に入職してもらうとともに、企業として雇用環境の改善に努めたい」と人材確保の取り組みに意欲を示した。
 労働局の喜久川地方職業指導官は今年9月末の新規高卒者(平成28年3月末卒業)等の求人・求職・就職内定状況などを紹介。就職希望者数が2、348人で前年比2・7%減。就職希望者が減少した原因として、卒業予定者数が昨年より減ったためとみていると分析した。県内求人数は2、151人で前年比25・7%増となり、宿泊・飲食サービス業360人が最も多く、卸売・小売業、サービス業に続き、建設業が246人となっている。また職業別の内訳は、サービスの職業633人、事務的職業286人と続き、専門的・技術的職業が244人だった。就職内定率は18・5%で前年より3ポイント上昇したものの、全国の56・1%に比べると低いことから喜久川地方職業指導官は「早期の求人票の提出と内定通知をお願いしたい」と呼び掛けた。
仲本副会長は就職内定率について「高校生の選考解禁が9月16日なのに、全国では半分以上の内定が出ている要因は何か」と質問。労働局側は「全国的には、9月末で1年間に提出される求人票の7〜8割が出されているが、県内では2〜3割程度しか出ていない。そして県外の事業者では、選考から内定通知まで1週間で出しているところもある」と話した。
 また労働局が建設分野の就業者は、55歳以上が約3割、29歳以下が1割であること、人手不足の職種が土木や建築、測量の技術者、型枠・とび・鉄筋工などと偏っているなどの現状を紹介。関連して県内の年齢別就業者数の推移について触れ、平成17年と平成22年を比較すると、5年間で34歳以下が1万1、000人減少し、若年層の確保が難しくなっていることから、人材の定着と育成が最重要課題とした。さらに建設分野においての課題として、求職者と求人側に待遇等に関して意識の差があるため、ミスマッチが発生していると説明。求職者側は、建設分野について「資格の割に賃金が低い」、「資格や経験不問の求人が少ない」、「中高年であることを理由に採用を敬遠されている」などの印象を持っていると紹介。これに対して求人側は、「人件費をできるだけ低く抑えたい」、「資格・経験のある人材を採用したい」、「年齢構成上、できるだけ若い人材を採用したい」と考えており、ミスマッチが起こっていると指摘した。
沖建協からは平成27年度雇用改善推進事業について、上半期の事業報告と下半期の事業計画を説明。上半期は、県教育庁へ工業系高校の拡充を要請したほか、高校生現場見学会の開催(県内工業高校5校・705人)、現場実習のあっせん、地域別産学懇談会、高校生への車両系建設機械運転資格取得支援、工業高校生向け3,4級建設業経理事務士の資格取得支援、建設業新規入職者研修、実践型人材養成システム(OFF−JT)などを実施したと報告。
下半期は、ハローワークと連携した採用計画事業所支援、優良若年建設従事者表彰、求人・会員企業紹介ガイドブックの配布、青年部会主催のフォトコンテスト開催などのほか、(一社)沖縄県建設産業団体連合会として、琉球大学へ環境建設工学科の定員拡充を要請したと紹介した。
 意見交換では、沖建協宮古支部の長田幸夫支部長が「宮古の高校生は夏休みに事業所での体験等を受けて、建設業への進路を決定している状況がある」と早い時期から取り組んでいることを紹介。一方、県高等学校長協会農業部会の知名部会長は「本島中南部の生徒は他地域に比べて取り組みが遅い」と指摘した。また仲本副会長が「他業種と合同説明会を実施しても、建設業が埋もれてしまう感じがあるので、建設産業限定の合同説明会を実施してはどうか」と提案した。このほか、県高等学校長協会農業部会の知名部会長が「未就業者への資格取得の補助を充実させてほしい」と要望。これに関連して沖建協から「次年度の高校生への車両系建設機械運転資格取得支援について、多くの問い合わせがある」と報告があった。


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