平成27年度地域別産学懇談会を開催
 〜 建設業への入職促進で意見交換
平成27年8月10〜14日

若年者の入職促進などに関して意見交換した
 ハローワーク、沖建協本部・支部、工業高校など実業高校の教諭らが新規学卒者の雇用問題などについて協議する「平成27年度地域別産学懇談会」が8月10〜14日にわたり、県内5カ所で開かれた。懇談会は、若年者を中心とした雇用問題の改善を図ることを目的に毎年行われており、県内5カ所のハローワーク(那覇、沖縄、名護、宮古、八重山)の管轄内で実施されている。
 このうち、8月14日に建労センターで開かれた懇談会には、ハローワーク那覇の徳里枝子統括職業指導官、那覇工業、沖縄工業、浦添工業、南部工業など実業高校の教諭らが参加。沖建協からは呉屋明労務対策委員長、大M均那覇支部長、山城一三南部支部長、本田雅則浦添・西原支部長、宮里佳斉浦添・西原副支部長、源河忠雄常務理事らが参加した。また建設関係団体から(一社)沖縄県電気管工事業協会の中村達会長が参加した。
呉屋委員長は「県内の経済状況は大幅な改善となる一方、建設業の技術者、技能者不足は顕在化している。協会としても人材確保・育成のために独自の活動を検討している。学校現場と行政、並びに業界団体の連携がより強固なものとなるよう、意見を出してもらいたい」と呼び掛けた。
 徳里指導官が平成27年3月新規高卒者の求人・求職・就職内定状況(平成27年6月末現在)を紹介。就職希望者が2、076人(県内1、375人、県外701人)で、そのうち内定者は1、925人(県内1、247人、県外678人)に上り、内定率は92・7%で前年に比べ0・1ポイント上昇した。また内定時期については、全国に比べ遅い傾向にあることから、求人票の提出を早めにしてほしいと呼び掛けた。新規高卒者の建設業の求人・就職内定状況は、平成27年3月卒の場合、求人数273人に対し内定者数100人で、前年に比べ求人数が60人増加したものの、内定者数が13人減少した。徳里指導官は「建設業へ就職を希望する生徒が増えていない状況が窺える」と分析した。
 学校側からの報告として「県外では優秀な人材が工業高校などに入学する傾向があるが、県内は逆の状況」、「卒業見込みがつかず就職活動に手が回らない生徒がいる」、「希望職種の決定が遅く、就職活動をうまくできていない生徒が多い」、「卒業することが目標となってしまい、卒業後の進路まで手が回らない」、「卒業後の進路の多様化で建設業以外の職種に就職する生徒も多い」、「土木や建築など専門の教員採用試験が十数年実施されておらず、現場は四苦八苦している」など様々な課題が紹介された。また若年者が建設業へ入職するために必要な取り組みについて、建設業に特化した「業界・会社説明会」の開催、取得した資格の役割を説明、建設業の魅力発信などが挙がった。
 沖建協は新規学卒者入職・定着促進への取り組みとして、中学・高校への「建設業界ガイドブック」の配布、職業人講話や高校生現場見学会の実施、フォトコンテストの開催、学生や教職員らに対する実技体験指導の実施、建設業経理事務士講座の受講援助などを行っていると紹介。また今年度からの新たな支援事業として、工業高校生の「車両系建設機械運転資格」の取得に当たり、受講費用の一部支援を行うとした。
 意見交換では、南部支部の山城支部長が「従事する上でキツさは避けられないが、週休2日や残業減などで、3Kのイメージ軽減を図っている。賃金も他産業に比べて決して低くない。先生方には積極的に入職を促進してほしい」と訴えた。源河常務理事は「宮古や八重山には、土木や建築の学科がないので、設置を申し入れた。沖縄工業などでは、志願倍率が1倍を超えており、入学できない子がいる。入学できる子を増やすためにもクラスの増設などを求めていく」と話した。工業高校の教諭からは「協会には建設業への女性進出を推進してほしい。女性が働きやすい環境は、男性にとっても働きやすいと思う」などの意見が挙がった。


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