雇用改善推進会議開く
 〜 若年労働者確保で意見交換
平成27年3月23日

若年労働者の確保などについて意見交換した
 若年労働者の雇用問題について建設関係団体と行政機関、教育関係者らが意見交換する雇用改善推進会議が3月23日、浦添市の沖縄建設労働者研修福祉センターで開かれた。
 会議には、行政などから沖縄労働局職業安定課の安田重光地方職業指導官、同局職業対策課の城間邦正課長、県土木建築部土木総務課の新城秀人建設業指導契約監、沖縄県高等学校長協会農業部会の中石直木部会長らが出席。建設関係団体からは、沖建協副会長と各支部長、沖縄県電気管工事業協会の小波津聰副会長、沖縄県造園建設業協会の大屋安軌事務局長らが出席した。
 議事に先立ち、仲本豊副会長は「建設業界を含め県内経済活動が活発になっている状況があり、あらゆる業界で人材不足とともに、人材を確保したいとの声が聞かれる。建設業では現場の技術者や技能者が不足しており、危機感を覚えている」と現状を指摘。その上で「建設業に入る若者を我々は確保したいという気持ちを持って、27年度の事業を展開していきたい」と人材確保へ向けた取り組みに意欲を示した。
 会議では、労働局の城間課長が県内の今年1月末の雇用失業情勢について紹介。県内の有効求人倍率(季調値)が0.76倍、新規求人倍率(季調値)が1.21倍で、いずれも前月より低下したものの、新規求人数(原数値)は9、648人と過去最高を記録したと説明。また建設関係の有効求人倍率は0.86倍で、新規求人倍率が1.34倍と求人が求職者を上回っている状況にあると指摘した。土木や建築の技術職の有効求人倍率が1.64倍で、特に躯体工事に関する職業(型枠工など)が2.46倍と高い一方で、就職した年齢層を見ると、55歳以上の就職率が高いことから、人手不足を55歳以上の人で補っている状況が窺えるとした。
 労働局の安田指導官は「昨年9月末の新規高卒者の就職内定状況(建設)は78人で、そのうち70人が県外」と説明し、人材が県外に流れている実態があるとした。その要因として、求人票の提出などが早く、技能系、技術系職種への就職が早期に決定している状況があるとした。会社に興味を持ってもらう取り組みとして、他県の会社では建設業でも専門用語を多用せず、普通高校の生徒らでも理解しやすいような求人票となっていたと紹介。求人票の記載方法も工夫が必要とアドバイスした。
 高校における新卒者への就職指導については、2年生から進路指導を行い、3年生になったら、すぐに進路希望を決定させるなど希望進路決定を早期化することで、内定率の向上を図っていると紹介。その結果、平成26年度2月末までの内定率は平成25年度同月値を上回った。内定率向上の要因として@求人数の回復A各支援事業の強化による各学校の取り組みの充実Bインターンシップ、施設見学、社会人講話、技術者講習等における県内事業所の協力による生徒の職業意識及び技術等の恒常的な取り組み―などを挙げた。平成26年度に新規に行った就職活動キックオフ事業では、県立高校に50人の就職支援員(ジョブサポーター)を配置したほか、夏休みに生徒研修を行い、社会人体験型プログラムにより徹底した訓練を行うなど、生徒の就職活動を強力にサポートした。
また校長協会農業部会の中石部会長は、農林高校の造園科などで女子生徒の割合が増えており、以前と状況が変化しているとした。
 労働局などの説明を受け、沖建協北部支部の津波達也支部長は「県内企業は求人票を出すのが遅い傾向があるようなので、改善が必要と感じた」との見解を見せた。電管協の小波津副会長は「県外の内定率が高いということで、求人に対する取り組みを迅速にするよう指導していく。我々の業界は精神的にタフでないとやっていけない。成績が優秀なだけでなく、精神的に持つかが重要」と指摘した。造建協の大屋事務局長は「就職しても定着できない人もいる。入職してもらうために、業界の実態を知ってもらう機会を持つことが大切。入職者にいい給料を払えるように、協会として受け皿づくりをしたい」と話した。また県土建部の新城契約監は、技能者不足への対策について「鉄筋・型枠の技能工不足が聞かれているので、沖建協や青年能力開発協会と連携して技能工を200人ほど育てる予定だが、目標の半分にも達していない。今後も取り組みを進めていく」と述べた。
 沖建協からは平成26年度建設労働者確保育成事業について、中学校や高校への建設業界ガイドブックの配布時期を3月に変更し、進路決定の早期に対応したと説明。このほか高校生向けの現場見学会や建設労働体験セミナーの実施、フォトコンテスト写真集の配布、工業高校生への資格取得支援として「3、4級建設業経理事務士講座」を実施したことなどが報告された。
平成27年度の建設労働者確保育成事業実施計画案では、高校生の入職支援として土木・建築施工管理技士講座、職業人講話などを実施するほか、技能向上を図るために、教諭対象の技能実習、新入社員等研修を行う。また新規採用予定企業リストの提供(高校・大学)、2級施工管理技士の取得に関する講習、中堅社員向けの研修を新たに行っていくことが示された。


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