建産連 第31回通常総会を開催
 〜 技能労働者の処遇改善を決議 〜
平成25年6月28日

技能労働者の賃金の適正化や社会保険未加入対策等の決議を行った
 若年建設従事者の入職促進事業の一環として実施している「平成25年度産学懇談会」が6月26日、建労センターで行われた。本懇談会は、減少傾向にある若年建設従事者の入職・定着について、業界の代表と行政機関及び学校関係者らが意見交換を行うもの。今回は沖縄労働局と県土木建築部、農林水産部、商工労働部、県教育庁、高等学校校長会が参加し、業界団体は沖建協と電管協、造園建設業協会が参加。オブザーバーとして建築士会、冷凍空調設備協会、沖管連、磁気探査協会、舗装業協会の他、グッジョブおきなわ推進事業局の担当者も参加した。
 建設投資の減少により受注競争が激化し、特に技術者や技能労働者では、新卒者よりも経験豊かな中途採用者の需要が高い。また、就労環境の悪化から、若年入職者も年々減り続けている。そのため、若年入職者を増やし、技術や技能を次世代に継承することが全国的な課題となっている。
 呉屋明労務対策委員長も開会挨拶で、「建設業は現場の技能労働者がものづくりを担う。携わる者が豊かな生活を送るため、労働環境の改善を図らなければ、次世代への継承は困難」と指摘し、官・学に対し活発な意見交換を求めた。
 会は幸地維章常務理事が進行し、沖縄労働局職業安定課の大城清次課長から雇用失業情勢についての報告があった。4月時点における概況は、有効求人倍率が0.51倍、新規求人数が6,390名で22.2%増、新規求職申込件数が9.9%減、完全失業率7.4%減(前年同月に比べ)とした。
 県教育庁県立学校教育課からの報告では、3月の高校卒業者の内定者数が2,277名で、前年同月から209名増加し、県内内定者数1,520名(希望者に対する内定率が85.1%)、県外内定者数757名(同93.2%)と、共に前年度から増加しており、労働局と教育庁の示した資料からは、県内景気の回復傾向にあることが伺えた。
 高等学校長会の工業部会と農林部会からは就職状況の報告があり、昨年度卒業生の就職決定率はほぼ100%で、特に沖縄工業高校の山城邦定校長からは就職への業界側の採用努力に対して謝意が伝えられた。
 協会からは、今年度の若年建設従事者入職・定着促進への取組みについて、例年行っている@高校生現場見学会、A建設業経理士3・4級講座、B若年労働者を対象とした研修や講習会、C地域別産学懇談会などの実施を継続するほか、今年度の新たな取り組みとした@教職員を対象とした型枠加工組立の実技指導研修、A学生を対象とした実技体験指導、B建設業界ガイドブックの沖縄県版の作成・配布などを行うとした。
 さらに、協会の呼びかけで実現した、沖縄県建設産業団体連合会による雇用状況調査結果を報告し、建産連加盟12団体の会員企業実績では中途採用者数が784名(重複した企業・採用者を除く)で前年から約2割減であった。一方、新規学卒者の採用者数は4割半増しの269名で、採用企業数も72社から105社に増え、依然として中途採用が多いものの、若年者を積極雇用する企業が増えているとした。
 意見交換では、造園建設業協会の下地会長が、「専門性の高い農林学校生の採用を増やしたい」とし、農林部会からのインターンシップ等の要望にも、前向きに検討したいと回答した。
 電管協の金城会長からは、「見学会などの取組みのほか、企業単位で若年者の雇用増加に向け努力している。行政に対し、雇用を促進する仕組みづくりを期待する」との意見があった。
 また、協会の呉屋委員長から、教育現場に対して、入職を志望する生徒に「技能職」と「技術職」の違いを教えるなど、ミスマッチを防止するよう求めた。行政には、各企業が円滑に雇用計画を立てられるよう、発注の平準化や、積極雇用を行う企業に対する評価を求めた。
 新川副委員長からは、建設業に限らず製造業や加工業でも、土木・建築を勉強した生徒を必要としていると述べると共に、「高校卒業者には、就職してから進学を希望者もいて、離職率が高い。学校で仕事への意識を啓発して欲しい」と指摘した。
 他に、公共工事設計労務単価の引き上げや、社会保険未加入の対策が講じられるなかで、今後、労働条件並びに環境の改善が見込まれ、新規学卒者の入職促進につながるとした。
 また、本産学懇談会は、8月初旬から各職安管内で意見交換を行うこととしている。



  このページの先頭にもどる