地方・中小建設企業向け海外展開セミナーを開催
 〜海外事業展開におけるリスク管理について講演〜
平成23年3月30日

海外進出時のリスクについて説明を受けた

 本協会は3月30日、建労センターで地方中小建設企業に向けた海外展開セミナーを開催した。講師は、NPO法人中小建設業海外活動促進支援会の鐘江敏行氏がつとめ、参加者18名は真剣に講演を聞いた。
 公共事業の大幅な予算削減により、県内でも公共事業工事がピーク時の半分程度にまで減るなど、中小建設業者にとって厳しい状況が続いている。そのため、国土交通省は中小建設企業を対象とした海外市場進出のためのガイドラインと支援策を打ち出しており、本協会もシンガポールやグアムへの海外視察研修を行うなど、海外建設市場の現状と国内建設業者の取り組み事例を調査している。
 今回は海外進出に関心がある企業に向けて「地方・中小建設企業海外展開セミナー」を開催した。
 講演会冒頭、照屋会長が挨拶の中でグアム視察研修に触れ、「現地の同業者はフレンドリーで、仕事の需要も十分あると感じた。米軍工事の受注に向けたセミナーも何度か開いているが、ボンド問題が障害の一つとなっているため、ひき続き解決に向けて打開策を検討したい。ビジネスチャンスを掴むため海外進出を検討している企業が、このセミナーを受けることで一歩を踏み出せれば幸いだ」と語った。
 講師の鐘江氏は、「中小企業の中には、海外の建設現場で優位性のある技術を持ちながらも、事業展開に関するノウハウがないために進出をちゅうちょするケースが多い」と指摘、「あらかじめ海外で生じるリスクを予測し、管理能力を身につけておくことが重要。そうすればビジネスは必ず成功する」とアドバイスした。
 また、初めて海外進出する際には、進出先を慎重に選らばなければならないとして、特に進出国への経路や距離などに留意し、なるべく日本から近く、価値観も似ていることを重視して選ぶようアドバイスした。
 鐘江氏は、「海外工事には様々なリスクが伴うが、特に大手ゼネコンに協力して工事の施工管理を行う場合は、契約リスク(海外での仕事の取り決めは契約書が中心となる)、為替変動リスク(通貨の交換が必要となるため為替変動リスクが生じる)、労務リスク(現地スタッフは風習や、宗教の違いにより習慣や制約も異なる)、法令遵守リスク(法令に関する情報が少なく、また現地の言葉で記載されていて理解しにくい)など、予測できるリスクについては自ら留意し管理する必要がある」と説明した。
 講義の中では、参考資料として国土交通省が作成した「地方・中小建設企業のための海外進出ガイダンス」の紹介があり、同省のホームページ(http://www.mlit.go.jp/common/000110976.pdf)からダウンロードできると周知があった。



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